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特集

統合プリントシステムについて

三田ITC 落合 啓一


統合プリントシステムは(各地区)ITCが抱えていたプリンターを巡る様々な問題(頻発するローカルプリンターのトラブル、ネットワークプリンターでの印刷物の取り違え、放置等)を改善するために20世紀末に導入した課金タイプのオンデマンド型ネットワークプリントシステムである。導入以来、ハード/ソフトの進歩を取り入れ、モノクロ/カラー自動判別機能やIPP(Internet Printing Protocol)に対応することで、ITCのPC/WSからだけでなく、個人のPC等を利用してオンキャンパスでもオフキャンパスでも認証付きで印刷命令がかけられるように2003年からなっている。

今回のシステム更新で導入以来5世代目となり、新機能として、これまでの磁気プリペイドカードによる精算方式に加えて交通系ICカード(Suica/PASMO)を用いて精算が行えるようになった。システムの更新サイクルとしては前年度に行うものであったが、電子マネー決済機能導入を計画していたため、実運用上の懸案事項がいくつかあり、その課題解決検討のため先延ばししていた。その間に交通系電子マネーでの飲料自販機やコンビニにおける精算が急速に普及すると共に、駅以外の場所でのチャージが可能になる等、交通系電子マネーを巡る環境はより改善され、システム導入への好条件ともなった。

しかし、これまでの専用磁気プリペイドカードと異なり、公共電子マネーというツールを用いることから、プリントシステムの技術的課題の他にも、ネットワークを含めた運用面での詰めが必要であった。システム的には問題がない場合でも運用上、交通系ICカード利用には次のような問題があった。

  1. 利用者が所持していいなかった(忘れてきた等も含めて)場合、すぐに入手することが難しい。
  2. チャージ金額が不足していた場合、チャージ機が必要である。またチャージ機を設置する場合、外部機関(JR)と現金精算情報を送受信するため、ネットワークは他の学内ネットワークとは独立である必要がある。
  3. 精算用機器の仕様がカードをホールドする形式であるため、排出されなかった時、利用者に及ぼす深刻度は専用カードの比ではない(一部のプリンターはITCが無人の時も稼動している)。

といったことである。

1.については当面磁気プリペイドカード(現状自販機で購入できる)と併用することで回避できているが、Suica/PASMOの入手が今後、駅以外(大学生協等)の場所で入手可能になるかに依存しており、別の方策を考える必要があるかもしれない。

2.については三田・日吉・矢上ではITCのPCが設置されているエリアの一部に生協がチャージ機を設置してくれたので、生協へ直接光配線を延伸し、独立したネットワークを構築した。

3.については各地区で管財・用度に相談して警備会社の協力を仰ぎ、無人運転の時間帯にカード詰まりが起きた場合でもカードを取り出してもらえることになった。これで定期券が取り出せなくなって帰れないという悲劇は回避できることになった。

こうして一応、運用上重大な懸案事項は解決できる見込みがつき、システムリリースとなった次第である。ただ実運用に入ってみると、磁気プリペイドカード/交通系ICカード併用のため挿入するカードを取り違えたり、ICカード精算装置のカード挿入口形状によるためか現金を投入されたりとか等の初期トラブルは発生したが、だいぶ落ち着きつつあり、決済件数も徐々に増加し、今では交通系ICカードが三田の例だと2/3程度までになっている。

交通系電子マネー決済の導入によって、利便性はかなり向上したものと考えている。特に卒業が間近な場合や、スクーリング期間だけといった短期利用者にとって、新たにプリントカードを購入せずに済むことのメリットは大きいであろう。これまで提供してきた利便性、保守性、利用者が負担する印刷コスト等を含め、学生が利用する環境としてはおそらく最も恵まれたものであると自負している。今後、モバイル環境への適応性をよりよくしていく等さらなる充実ができればと考えている。

最終更新日: 2014年10月17日

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