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提言

2020年が待ち遠しい

理工学ITC 所長:松尾 亜紀子


教員誰しもとは思うが、私は一日中コンピュータ(PC)に向かっている気がする。当然、講義の際には違う・・・と言いたいが、最近ではパソコン上で講義資料を作り、プロジェクターにPPTで作成した資料を投影するのである。つまり、講義中においてもPCに向かい合っている。じゃ、会議ではどうか。まだ紙媒体の資料が配られることも多いが、最近では事前にネット上から資料をダウンロードすることを依頼されたり、会議の席でUSBメモリが回ってきたり、事前にメールの添付ファイルで配られたりと、紙に頼らない資料配付が増えてきた。デジタル化社会において紙は必要ないのでは、と言われていたが紙の必要性はなかなか消えないと思っていたが、古い体質の大学においても遂にペーパーレス化が到来しているようである。さて、紙媒体を使わなくなった世界では、学生はどのように学習するのか、学生は鉛筆を持たないまま学習できるのか。このネットワークが普及した時代、殆どの情報はインターネットからやってくるし、ネットワークが使えないとは仕事が出来ない。講義をすれば、学生は板書をスマホで撮影するし、配付資料はkeio.jpからダウンロードしてiPadに入れることで印刷はしない。ここに紙媒体は存在しない。鉛筆など筆記用具を持って文字を書くことを止めると、脳を刺激しなくなるために新たな知識を記憶することが難しくなるという。確かに、手で文字を書かなくなった今、漢字を自分の手で書こうとすると書けないことが多くて、唖然となる。これは、文字のパターン認識はできるものの、無から作り上げることができなくなったということであろう。様々な情報がデジタル化され、画面やスクリーン上でしか文字を見なくなったことの弊害である。

さて、前置きが長くなったが本題に移りたいと思う。理工学部矢上キャンパスでは、夏期一斉休暇中にネットワークの設備がリプレースされた。つまり、KISH6へと生まれ変わったのだ。このことによって、ネットワークのスピードが上がり格段の違いが見える、と言うわけではないようだが、着実にネットワークの高速化は進んでいるのであろう。私自身の問題としては、一斉休暇明けに研究室に来ると、ありがちなことではあるが、私の部屋からインターネットへ接続できない。シャットダウン後に機器を立ち上げた際に故障することはこれまでの経験上よくあることである。まずは、室内の機器を片っ端から調べ、立ち上げ直し、動作を確認した。そして分かったことは、ハブに表示されているアップリンクのランプが切れていると言うことであった。これは、単にランプが壊れているのではなく、繋がっていないということである。早速、いつもお世話になっているITCの方々にご足労いただき、原因を探っていただいた。つまり、この作業が終わるまでは慶應のネットワークは使えない。ここで問題となるのが、ネットワークが無い世界でいかにして仕事をするかである。今どきインターネットに繋がっていないなんてことは考えられないし、ITCの電話番号一つ調べるのにもネットワークへの接続は必要である。結局、私は何ら困ることはなく、普段やっているように携帯の4G回線を通してインターネットへ接続した。多少通信速度が遅いとは感じるが、メールも取れるし、様々な情報にアクセスすることもできる。さて、2020年、この世はどうなっているのか。世間では東京オリンピックが開催されるようであるが、私が気になるのは5Gの運用が開始される予定であるということである。5G回線の高速化は著しくこの世が変わってしまいそうな気配である。これまでは大学といった組織が自分の中に閉じた回線を使うことで回線内部におけるネットワークの高速化を提供していたかもしれないが、5G回線が一般に使われるようになると、セキュリティのためにkeioのドメインは使われるのかもしれない。30年前と比べると多くのことが変わったが、インターネットによるネットワーク社会への移行は最も大きな変化だったと思う。今から5年後。まだまだ、ネットワークからは目が離せない、と言うことだろうか。

最終更新日: 2015年9月4日

内容はここまでです。